総予測#69Photo:Fisher Investments提供

特集『総予測2021』(全79回)の#69では、あのウォーレン・バフェット氏の師匠として知られる故フィリップ・フィッシャー氏を父に持ち、米国有数の著名投資家として知られるケン・フィッシャー氏にインタビューを実施。同氏は、2021年のグローバルな株式市場について「長く続いた強気相場の最後の年になる」との見方を示す。 (ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

株式市場はバブルではなく
「むしろ完全に合理的」

――新型コロナウイルスの感染拡大が世界中で止まらない一方、米国をはじめ世界的な株高が進んできました。こうした現状は「バブル」であると考えますか。

 そうは思いません。私からすれば、マーケットの動きはむしろ、完全に合理的です。

 理論的にも実際の動きを見ても、株価は常に先行指標であり、通常は約3~30カ月先のシナリオを織り込んで形成されます。その時々で、市場がどれほど先の未来を見ているのかを知るのは難解ですが、いずれにしても将来の姿を織り込む性質があるわけです。

 その上で、株価を分析する際は、二つの面に注意を払う必要があります。一つは、株価には突発的に起きたあらゆる事象が織り込まれること。もう一つは理論的に定義される通り、将来キャッシュフローの割引現在価値という側面です。

 短期的な下落圧力はいずれ、将来キャッシュフローの現在価値を割り引いた、より波長の長い価値評価の尺度に取って代わります。また重要なのは、今はとてつもなく金利が低いため、将来的な収益の現在価値を考える際、割引率はほとんど問題にならないことです。

 よってコロナの感染者数が拡大を続けていますが、市場は「今」ではなく、常に約3~30カ月先の「未来」を先取りします。2021年にワクチン接種の普及も見えてきた中、もはや市場はコロナをあまり心配していないのです。

――21年のグローバルな株式相場を巡る環境をどのように捉えていますか。

 基本的に良い年になると思っていますが、継続的な強気相場の最後の年になるかもしれません。