成長を続ける慶應義塾大学と三田会。規模の拡大は新たな人脈と経済圏を生み出し、それに引かれてさらに人が集まるという好循環につながる。特集『慶應三田会vs早稲田稲門会』(全16回)の#4では、慶應大と三田会の膨張をヒト・モノ・カネで徹底検証する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
東京歯科大との合併で
私大トップを射程内に入れた
慶應義塾大学が、さらなる“領土拡大”を遂げようとしている。
昨年11月、慶應大は東京歯科大学と合併の協議を始めることを発表した。慶應大にとって歯学部は、医学部、薬学部、看護医療学部の間を埋める、医療系学部最後のピースだ。その詳細は本特集#1『慶應が東京歯科大との合併で奪取する、歯学部とは別の「虎の子」とは?』に譲るが、これで慶應大は総合私立大学として、医療分野で随一の陣容を誇る、唯一無二の存在となった。
実際に、慶應大にとって、東京歯科大と合併するインパクトはすさまじい。大学の「売り上げ」を表す事業活動収入を単純合算すると、その額は1974億円と私大1位の日本大学に迫る。入試難易度や経済界への影響力といった“ソフト面”にとどまらず、大学の収入規模という“ハード面”においてもトップに迫り、名実共に私大首位の座を射程内に入れたのだ。
だが、こうした「拡大策」は、慶應大にとって今に始まったことではない。むしろ、この膨張こそが、慶應大を“最強の学閥”たらしめる、人脈や経済圏の源泉となってきたのだ。
どういうことか。