慶應三田会vs早稲田稲門会#3
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同級生や地域、大企業、士業。多岐にわたる大学の同窓会ネットワークの中でも、ビジネス界で圧倒的な存在感を放つのが三田会だ。三田会の組織力の源泉はどこにあるのか。特集『慶應三田会vs早稲田稲門会』の#3では、企業別・職域別の三田会と稲門会のリアルな活動に迫った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

幻の三田会大会・稲門祭の合同開催プラン
三田会大会の幹部は経済界の大物が歴任

 今から約10年前のことだ。38万人を超える慶應義塾大学のOB組織「三田会」を束ねる慶應連合三田会に、早稲田大学校友会(通称:稲門会)の関係者から、こんな打診があったという。

「慶應連合三田会大会と稲門祭を合同開催しないか」――。

 三田会大会と稲門祭はそれぞれの大学のOBが集まる一大イベントだ。三田会大会は毎秋、横浜市港北区の慶應大日吉キャンパスで開催され、約2万人のOBが参加する。そしてこの三田会大会こそが、世代と業界の垣根を越える三田会の結束力を生み出す舞台装置なのである。

 三田会大会の準備・運営を担う実行委員会を担当するのは卒業後10年、20年、30年、40年目のOBの有志たちだ。40年目の代はアドバイザー役を担い、30年目が実務の中核を担う幹事役を務める。実行委員の数は毎回1000人を超えるという。

「10年離れた世代が集うことで、在学中の先輩後輩とは違った関係が築ける」と実行委員の経験のある慶應OBは語る。

 三田会大会は連合三田会の運営にも欠かせない。5枚つづりのチケット1シートの価格は1万円。このチケットの売り上げは1億円を超え、6000万円近い利益が連合三田会の収入となるという。

 実行委員にはチケットノルマもある。開催の1年前には、どの学部にチケットを何枚さばいてもらうかの“予算会議”のようなものが開かれる。

「経済学部と比べて文学部は女性が多いので、負担を減らしてほしい」「内部進学者が他より少なく、OB活動がそこまで活発ではないのでチケットがあまり売れない」

 まさにビジネスの現場で交わされるようなガチンコのやりとりが繰り広げられるのだ。ちなみにチケットの売り上げは、経済、法、商と文、理工と医学部の順に多いそうだ。

 大会の準備が始まるのは本番の約1年半前だ。大会直前の準備の様子は、翌年の実行委員が見ているため、先輩の意地に懸けてもぶざまな姿はさらせない。こうして一大イベントを乗り切った実行委員同士の絆はいやが応でも深まる。

 何より、卒業10年目、20年目の若手~中堅の社会人にとって、実行委員会の幹部ポストを務める経済界の大物と仲良くなれるチャンスは他に代え難いものがある。

 歴代の実行委員長(40年目が担当)や実行本部長(30年目)などの幹部ポストを見ていくと、日本をリードする経済界の大物がそろい踏みだ。