中国で空前の「おしゃれ系書店」ブームが巻き起こっている。中でも注目を集めているのが日系の書店や日本関係の書籍だ。2020年10月には杭州に蔦屋書店1号店が、12月末には上海に同2号店がオープンしてにぎわっている。ネット通販の利用が多い中国で、なぜ、リアル書店に足を運ぶ人が増え、日本関係の書籍も人気があるのか?(ジャーナリスト 中島 恵)
中国では
書店の数が増えている
「オープンの数日後に蔦屋書店に行ってみました。以前、日本旅行をした際は、必ず東京・代官山にある店に行って、センスのいい内装を参考にしたり、日本でしか手に入らない本を数十冊買い込んだりしてきましたが、こうして杭州にもカッコいい蔦屋書店ができたなんて夢のようです」
こう語るのは杭州で建築家として働く30代後半の男性。彼は日本に住む中国人の友人を頼って、新型コロナウイルスの世界的な流行が発生する以前は、1年に数回、京都や東京に旅行にやってきていた。訪れる先は観光地ではなく、書店やカフェ、美術館、個性的なホテルなどで、建築家らしく、設計の参考になる場所が多かった。
昨年、地元に蔦屋書店がオープンしたことで、今後は中国に居ながらにして、日本の書籍を手に取ることができるようになったと喜んでいる。男性は日本語はできないが、センスのいい日本の写真集や美術書、建築デザインの本を眺めることが大好きだ。