簡単には動かせない医療資源
政府も始めたコロナ病床への補助拡充

 対応できない理由は簡単で、医療資源はあっても、それをコロナのために動かすことができないからである。病院は、私立はもちろん、国立でも公立でも大学病院でも独立採算だから、コロナ患者を受け入れて赤字になるわけにはいかない。院内感染を起こせば休業しなければならない。それは他の患者や地域に大変な迷惑をかけるし、病院は大赤字になる。厚労省は、独立採算の病院に命令することはできない。

 すると、医療体制を踏まえたコロナ対策とは、コロナ患者を受け入れた病院が赤字にならないようにすることになる。政府も、1月8日の緊急事態宣言を受け、宣言対象の都府県の病院では、新型コロナウイルス感染症の重症者病床については1床当たり1950万円、その他の新型コロナウイルス感染症病床については1床当たり900万円に補助金を拡充し、人材確保等の経費に支弁してほしいとしている(厚生労働省「『令和2年度新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業の実施について』の改正について」〈1月7日〉概要https://www.mhlw.go.jp/content/000716482.pdf)。

 もちろん、お金があっても、病床があってもダメで、医療スタッフがいなければならない。医師や看護師の数を急に増やすことはできないが、実は医療資源には余裕がある。日本では現在、病院に行く人が減少している。病院でコロナ感染症にかかることを恐れて病院に行かなくなっている。