夫婦の相続#3Photo:PIXTA

毎年発表される路線価は相続税や贈与税の課税額に大きく影響する。近年、路線価上昇を背景に流行していたのが「タワーマンション節税」だが、昨今気になる裁判の判決事例もあり、今後は注意が必要だ。特集『夫婦の相続』(全13回)の#3では、相続税のプロフェッショナルである弓家田良彦税理士が、タワマン節税のポイントを解説する。(寄稿/税理士法人弓家田・富山事務所代表社員 弓家田良彦

「週刊ダイヤモンド」2021年1月16日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

2020年、コロナ禍の
東京23区の路線価と今後

弓家田良彦氏税理士法人弓家田・富山事務所代表社員●弓家田良彦(ゆげた・よしひこ)
多摩信用金庫、京王不動産などの顧問を務め、資産税に関するセミナー講師としても活躍。年間70件以上の相続税の申告を行う相続のスペシャリスト。主な著書に『相続・贈与知らないと損する(得)ガイド』(アニモ出版)、『不動産を買うとき売るときの税金でトクする法』(日本実業出版社)。

 毎年7月1日に発表される路線価は、相続税や贈与税の課税額に大きく影響します。

 2019年までの6年間、首都圏では路線価が高騰し続けました。20年は新型コロナにより、路線価の補正(減額調整)が検討されましたが、緊急事態宣言解除後に不動産価格が回復したため1~6月は補正はありませんでした。

 7月以降は地域によって補正をするか否かを検討し、20年7~9月分は21年1月下旬、20年10~12月分は21年4月に補正をする場合は公表することになっています。

 20年の東京の路線価は、前年と比較して、23区内など都心部はやや上昇、郊外もやや上昇か横ばいという結果になりました。頭打ち感は出ているものの、都心と都心に近い人気エリアでは基本的に上昇が続きそうです。21年もこの流れが大きく変わることはなさそうですが、飲み屋等が集まる都心の繁華街が限定的に下がる可能性はありそうです。

 この動向から相続税対策を考えると、近年の路線価上昇を背景に流行していた「都心のタワーマンション節税」は引き続き有効な策の一つといえます。

 ところが、先日、気になる裁判の判決がありました。