しまむら実店舗に強みのある「しまむら」では、販売力強化にあたってデジタル化の動きが進んでいる Photo:Diamond

2020年、新型コロナウイルスの影響による外出自粛で、一時は客数を大きく減らしたしまむら。だが、6~11月期には売り上げ、利益ともに前年を上回る業績を上げている。店舗運営に強みを持つアパレルの雄は、DXにどのように取り組んでいるのか。公式オンラインストア開設について聞いた前編「しまむらが、安くて品ぞろえ豊富なECを『低コスト』で実現できた理由」に続き、今回は、店頭での販売力強化にあたって、しまむらが取り入れたデジタル化の動きを紹介する。(編集・ライター ムコハタワカコ)

広告のデジタルシフトが奏功
営業利益は前年同期比3.3倍に

 20年12月28日、しまむらは21年2月期・第3四半期の決算発表を行った。当該四半期の売上高は前年同期比で15.6%増、営業利益は230.7%増(約3.3倍)を記録。年度累計の売上高も前年を上回り、3~11月度は増収増益となった。

 利益増の要因のひとつには販売管理費の抑制がある。そのうち広告宣伝費について、しまむらでは、デジタル広告へのシフトが効果を上げたと説明している。

 LINEやYouTubeをはじめとするSNSへのデジタル広告を強化した一方で、新聞折り込みチラシを抑え、テレビCMはゼロに。その結果、年度累計では広告宣伝費が前年比35.4%も減少。商品・売り場・販促の連動についても「デジタル広告の方が準備期間が短く、気温変化などの情勢に応じて対応しやすかった」としている。

 前編でも紹介したように、しまむらは20年10月に満を持してオンラインストアを開設した。オープンからの売り上げもほぼ計画通り推移しており、年度では上期まで運営していた店頭受け取りサービス「しまコレ」との合計で20億円の売り上げを見込む。

 またコロナ禍によるEC需要の高まりに合わせて、EC事業拡大のピッチを上げるとしており、来期は「しまむら」ブランドでのEC取扱高の増加と「アベイル」「バースデイ」「シャンブル」ブランドでのECスタートを計画している。