これまでにダイヤモンド・オンラインで何度か書いてきたが、日本のアイドルファンはアイドルの「未成熟の一生懸命」を応援するというのが基本スタイルである。完璧さより不完全さを愛する。
日本での最初のヒット曲『ミスター』(2009年)は、ヒップホップ調のファッションにスニーカーを履いた「ヒップダンス」が受けたが、それは脚を無理に長く見せずにナチュラルに見えたことが大きかったのではないだろうか。脚線美にこだわった少女時代より、「短い脚」で踊り応援したくなるような一生懸命さが見えるKARAのほうが日本人好みだったのだろう。
『Make you happy』が日本で受けたのは、スニーカーを履いて自然光の下で踊るというナチュラルさも大きく寄与したというのが私の考えである。『Step and a step』のPVは作り込まれており完成度が高いが、少女時代以来のハイヒール・ダンスを取り入れたため、「K-POPそのまま」という印象を与える。しかも、その土俵で勝負するなら、BLACKPINKやTWICEにはまだ遠く及ばないだろう。
NiziUプロジェクトは、おそらく日本で実力を磨いて世界に羽ばたくという構想なのだと思うのだが、「K-POPそのまま」では日本でさらに人気を博すのは難しいのではないだろうか。
現在、NiziUは、テレビ局に露出してCMも多く出始めている恵まれた状況が続いているが、プレデビュー曲を頂点にしてこのまま人気が長期停滞してしまうと、人気の割には露出が多い、いわゆる「ごり推し」の印象を与え、反発を大きくしかねない。
現在、NiziUはどちらに転ぶかわからないという端境(はざかい)にある。嫌韓感情が根強い日本のマーケットを独占できるかどうかは、仕掛け人たちがそのあたりを把握して戦略を修正できるかどうかにかかっているのではないだろうか。