五島の福江島がフィールド

長崎港から水上ジェット機で約1時間半。訪れた2020年10月上旬だが、五島列島の福江島の港には穏やかな海が広がっていた。
港から徒歩10分ほどのセレンディップホテル五島に着くと、ロビーには広々としたカフェ。ここが実証実験でもワーキングスペースとして活用された場所だ。民宿やビジネスホテルとは雰囲気が違い、内装は都市部のカフェのよう。仕事しやすそうな空間だ。
2020年12月31日時点での五島市の人口は、3万6278人。実はここ5年ほど、五島市ではUIターンの移住者が増えており、2019年はついに転入者が転出者を超え、社会増に転じた。五島市役所の地域振興部・地域協働課の庄司透課長はこう話す。
「世界遺産登録で認知度が上がったこともありますが、移住された方の話を聞いていると、島なのに意外と便利とか、心に余裕のある暮らしがしたかったといった声もある。私たちが移住相談を受けた際に大事にしているのは、地元の人につなぐこと。顔の見える関係を大事にしてきました」

その延長で、新たに行われたのがワーケーションの取り組みである。2019年5月に行われた「リモートワーク実証実験」と2020年1月に行われた「ワーケーション・チャレンジ」。いずれも都市部で働くキャリアパーソンを対象に1カ月間の開催で、3泊4日以上9泊10日以内であればいつ来ていつ帰ってもいいという仕組み。島の保育園や小学校に体験入学できる制度も用意され、子ども同伴でも島に長期滞在しやすいトライアルだった。