免疫力の嘘#9
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健康界のパワーワードである「免疫力」。関連記事や書籍も多く、薬を使わずに自己の免疫で病気を予防、治療したいというニーズが高いことの証左であろう。しかし、免疫力を定量化する指標について、それらの記事や書籍には明確な説明がない。特集『免疫力の嘘』(全13回)の#9では、免疫とは、そしてその“力”とは何か、免疫にまつわる真偽に迫る。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

“免疫力アップ”の根拠となる
定量的に評価する方法は?

 冬になると、メディアに頻出する“免疫力アップ”というキーワード。そのようなタイトルが付いている記事や書籍を見ると、ヨーグルト、納豆、しょうが、根菜など特定の食べ物が良いというものから、体温を上げる、筋トレやエクササイズをする、はたまたよく笑うなどといったさまざまな“免疫力アップ”の方法があるようだ。

 しかし、それらの記事や書籍には、風邪をひきにくくなった、体がスッキリしたなどといった個人的な感想は書かれているが、“免疫力アップ”の根拠となる、肝心の免疫力を定量的に評価する方法が提示されていない。「昨年は何回風邪をひいたが今年はこれだけ減った」といった程度の情報くらいあってもよさそうであるが、そのような類いの記述もない。

 免疫とは何か、そしてその“力”の正体とは。ここは、正式な学問として免疫を学ぶ学者に聞いてみるのがよさそうだ。米スタンフォード大学で免疫学を研究しSNSでも情報発信している新妻耕太氏に、免疫にまつわる素朴な疑問をぶつけてみた。

 実は学問の世界には、“免疫力”という概念自体がない。新型コロナウイルス感染症の重症例にも免疫は関与しているし、健康に関する商品やサービスには高額なものも多いから、いま一度、免疫について理解を深めておいて損はないはずだ。