春節中国では、コロナ禍を経て春節の消費傾向が大きく変わっている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

春節はつまらない?
春節を楽しめない若者たち

「春節は何をしましたか」

 筆者は中国の大学で日本語を教えているが、この手の話題は春節前後の授業における「鉄板ネタ」だ。大体の学生は「親戚の家へ行ってお年玉をもらいました」と答えるが、一部の学生は「春節だからといって特別なことはありません。つまらないです」と答えた。

 春節というと、旧暦の大晦日に家族が集まって、「年夜飯(年越し料理)」を食べながら、中国版紅白歌合戦である『春節聯迎晩会』を見て、年が明けてからは親戚に年始回りに行くというものだ。筆者を含む日本人から見れば楽しそうだし、老年層の中国人から見ても「楽しみ」だ。

 だが、一部の若い人にとっては楽しいことではないようだ。春節を楽しくないと思う人からすれば、毎年同じことの繰り返しだから別に新鮮味がないという。そんな春節も中国経済にとっては大切な時期だが、昨年からの新型コロナ禍で中国の春節消費は様変わりしている。

「民族大移動」を避けるため
あの手この手の中国政府

 昨年の春節、中国人の友人は「こんなことになって、中国経済は大変なことになりますね」と言った。なぜかというと、春節の時期、多くの中国人は帰省や旅行などでたくさんの消費をするからだ。大晦日の年越し料理を外で食べる人は少なくないし、親戚回りをするときは贈り物を持っていく。

 だが、昨年はコロナ感染の拡大を受けて、親戚や友人との集まりを中止する人が多かったため、キャンセルが相次いだレストランが余った食材を売って、何とか損失を補おうとしている姿は、日本メディアでも報道された。昨年1~3月期の中国のGDP(国内総生産)の実質成長率はマイナス6.8%だったが、春節消費の落ち込みも関係している。