「やってみると、これはオフラインで情報共有するより良い状態になると気づいた。会議に出席した人と欠席した人、喫煙室でよく会う人とそれ以外の人というように、その場にいる人といない人との情報の差が大きくなると、組織の齟齬(そご)も大きくなる。それがオンライン一択になってなくなった」(鈴木氏)
Notionでのドキュメント化と情報の集約は、overflowがオフィス解約を決断した後、2020年5月の約1カ月で行った。鈴木氏が先導して「とにかく業務に関することはすべて、Notionに書こう」と言い続け、自らも書き込みを積極的に行ったという。
「こうした新しいツールには、使いこなすのが得意な人と不得意な人がいるのは確か。自分自身も上手に書く人をまねして試行錯誤した。『Notionに書かれていない情報については、トップである私も判断できない』として、多少、強引にドキュメント化を促してみた。メンバーが慣れてくると、みんな書く癖が付くようになる。1カ月ほどでドキュメントのURLが、チャットツールのSlackに飛び交うように変化した」(鈴木氏)
オンボーディングについても、すべての工程がオンラインで完結するように、プロセスを見直した。具体的には、入社が決定した採用予定者に、Googleドキュメントで会社や組織、メンバーについての情報をあらかじめ送付。取材記事やプレスリリース、経営陣のブログなど、10ページほどに及ぶボリュームだが、一読すれば事前に会社についての一通りの情報が得られる。
さらに会社から情報を与えるだけでなく、採用予定者にも入社前にNotionで自己紹介を書いてもらう。テンプレートにしたがって書き込んでいくだけで、かなり詳しく入社するメンバーの人となりが分かるような構成になっている。
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また各自の自己紹介ページの末尾には、オンボーディングの進行度を確認するためのチェックリストが埋め込まれている。入社したメンバーが自分自身で完了したタスクをチェックしていくことで、ほかのメンバーも新入社員の受け入れがどこまで進んでいるのかを確認できる。
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