渋谷緊急事態宣言が再々延長されても、景気の見通しが明るい理由とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

個人消費は減少しているが
落ち込みは相対的に小さい

 今年1月に再発令された緊急事態宣言は、徐々に解除されているとはいえ、個人消費は減少しており、経済活動が再び落ち込んでいるとみられる。ただ、20年4-5月の1度目の宣言発令時に比べ、今回は宣言の対象となる自治体が少ないほか、商業施設などに対する休業要請が出されていないなど、対象が絞られている。結果として、消費の落ち込みも20年4-5月に比べると小幅にとどまっている。

 1月の消費関連指標は、軒並み弱めの推移となっていたが、百貨店販売額をみると、2月に持ち直している。大手百貨店・4社の合計販売額をもとに推計した季節調整値で百貨店販売額をみると、1月に前月比で19%落ち込んだあと、2月は同26%の増加となっている。

 1-2月平均では、宣言再発令前の20年12月に比べ8%減少しているが、1度目の宣言発令時の20年4-5月平均は、発令前の3月比で61%減少しており、落ち込み幅は14%程度にとどまっている(図1参照)。

 Googleコミュニティ モビリティ レポートで、宣言下にある東京の小売店・娯楽施設へのヒトの移動状況(人出)をみても、2月に入り人出がやや増えている。宣言再発令後の落ち込みを20年の発令時と比べると、1月末時点でも半分程度だったが、足元までの平均でみると4割弱となっている。

 GDP統計の個人消費や消費総合指数などから推計される個人消費は、昨年の宣言発令時に4.3兆円ほど減少した。一方、今年1月の宣言再発令時の個人消費は、首都圏の1都3県で宣言が1週間程度さらに延長されることを織り込んでも、消費関連指標の動きなどから2兆円程度の減少にとどまるとみられる。

 もちろん2兆円の減少でも、今年(21年)1-3月期の実質GDP成長率は、前期比1.5%ポイント、前期比年率で5.9%ポイント押し下げることになり、1-3月期はマイナス成長となる可能性は高い。

 ただ、輸出の拡大が続いていることもあり、1-3月期の実質GDP成長率が、20年後半の急回復(実質GDP成長率・前期比年率は、7-9月期にプラス22.7%、10-12月期はプラス12.7%) を相殺することはないと予想される。実質GDPの水準は、21年1-3月期に落ち込んだとしても、大幅に落ち込んだ20年4-6月期を下回ることにはならず、足元の景気が底割れ、2番底を付けることはないだろう。