旅客数激減による急速な業績悪化を受けて、JAL、ANAHD両社は、余剰人員を一時的に他産業に出向させている

新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が広まったことで大きな影響を受けた業界がある。航空・ホテルだ。これらの業界が直面する現在の状況と今後の展望について分析した。(ダイヤモンド・セレクト「息子・娘を入れたい会社2021」編集部)

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2021」の掲載記事を転載したものです(加筆修正あり)。

【航空】
国際線の旅客数は9割減
採用再開まで3〜4年かかる

 2020年11月17日、格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパンが経営破綻した。国内航空会社としてコロナ禍での初の破綻となった。

 原因は言うまでもなく旅客数の激減だ。19年までは、右肩上がりで伸び続けるインバウンドや、好景気によるビジネス客に支えられて、航空各社の業績は好調だった。しかし、コロナ禍で国内や海外との人の移動が制限される中、好業績を支えてきた2本柱であるインバウンド客とビジネス客が激減。各社の業績を直撃した。

 下図で示したように、20年4〜9月の主要航空会社3社の業績はいずれも赤字となった。通期でも日本航空は2000億円超、ANAHDは5100億円の赤字となる見込みだ。両社の旅客数の前年同期比を見ると、国際線はなんと96〜97%減、国内線も76〜80%減となっており、まだ回復には程遠い様子がうかがえる。


 そんな中、両社は、21年卒の新卒採用を中止(内定者を除く)、22年卒の採用も見送る方針を打ち出している。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は、「JALとANAは、20年のオリンピックで航空需要が増すことを前提に昨年まで積極的に採用を増やしていた。それもあって、特に客室乗務員(CA)は3〜4年は募集しない可能性がある」とみている。

 では、今後航空業界はどうなるのか。鳥海氏は「国際線が戻るのには4〜5年はかかるだろう。それと比べると国内線は戻りが早いかもしれないが、従前から伸びるわけではなく横ばいがいいところ」と分析する。

根強い個人の旅行需要

 コロナ禍で苦しむ航空業界だが、あらためて分かったことが一つある。個人の旅行需要は根強いということだ。観光庁によれば、10月末時点の累計のGo To トラベル利用人泊数は約3976万人泊、割引支援額は約2087億円に達している。今後はこうした個人のレジャー需要をどう取り込んでいくかが鍵となるだろう。

 就活生の中には、航空業界を目指してスキルを磨いてきた人も多いだろう。鳥海氏はそんな学生に向けてこうアドバイスする。

「今は本当に大変な状況で、学生の皆さんは悲観的になってしまうかもしれない。しかし、航空各社が今後採用を再開する際は、過去2〜3年の卒業生は皆、新卒枠として扱う可能性が高い。だから諦めずに、今は別の企業に就職してキャリアを磨き、そのときに備えてほしい」