――何があったのですか?

 震災1カ月後に、宮城県の南三陸町に、ソーラー街路灯を持って、ボランティアに行ったのです。そのときわかったのが、現地の電力不足。発電機はあっても、燃料が調達できずに動かせていないのです。そんな中、役場でソーラー街路灯をつけたところ、とても喜ばれました。

 この体験をきっかけに、「利益も大切だが、必要な所に必要なものを届けることが、自分たちの役割。自然エネルギーを用いた商品を届けることで、世の中に貢献しよう」と考えるようになったのです。以来、本格的にソーラーシステムハウスやソーラー街路灯の販路拡大に力を入れ始めました。

――今はどう広がっているのですか?

 工事現場だけでなく、さまざまな自治体で活用されるようになりました。熊本県や北海道で発生した大地震や西日本豪雨などの災害時には、体調の悪い方の救護施設や授乳室、携帯電話の充電スポットとして活躍しました。現在では40の市区町村と災害協定を結んでいます。

 また、ソーラーバイオトイレは、国土交通省が「建設現場を男女共に働きやすい環境にする」取り組みの一環として認定している「快適トイレ」の事例として選ばれました。それ以来、レンタルの依頼が一気に増えましたね。

 他にも、静岡県の浜岡原発の近くでは、ストックコンテナが放射能を測定する精密機械を保管する倉庫として使われています。遠隔操作で室内の温度を保てるので、高温に弱い機械を置けると好評です。

――多様なニーズをつかめたわけですね。

 海外での業務拡大も視野にインドネシア法人を立ち上げ、現地でソーラーシステムハウスやソーラー街路灯を販売しています。

 インドネシア進出が実現したのは東濃信用金庫さんのおかげです。インドネシア人の社員がいたので、ODA(政府開発援助)で進出しようと考えたのですが、JICA(国際協力機構)にどうプレゼンしていいかわかりませんでした。そのとき、東濃信金さんに、資料の作成やJICA中部でのプレゼンにご協力いただいたのです。

 さらには、現地法人の立ち上げをサポートしてくれるコンサルタントの先生も紹介していただきました。どう探せばいいのかまったくわからなかったので、本当に助かりました。

――今後はどんな展開をお考えですか?

いつでもどこでも電気が使えるソーラーシステムハウスで社会に貢献工事現場の事務所として使われているコンテナハウスに、ソーラーパネルと蓄電装置を備え付けたソーラーシステムハウス
●株式会社ダイワテック 事業内容/ソーラーシステムハウスの開発・製造・販売等、従業員数/52人、売上高/57億円(2019年度)、所在地/愛知県名古屋市西区大野木3-4、3電話/052-506-7281、URL/daiwatech.info

 まずは日本国内で営業網を広げていくこと。現在はBtoBが中心ですが、BtoCに乗り出します。
 具体的には、個人宅で離れとして使えるソーラーシステムハウス「和室」を開発しました。普段は趣味の部屋や書斎として、災害時には避難場所として利用していただければと考えています。

 弊社は、電力網は持っていませんが、電気を提供するという意味で、「小さな電力会社」だと考えています。いかに電気が不足している場所に電気を供給し、途絶えさせないか。その仕組みを整えることに全力を注いでいきます。

(取材・文/杉山直隆、「しんきん経営情報」2021年2月号掲載、協力 東濃信用金庫