日本の匿名掲示板として圧倒的な存在感を誇った「2ちゃんねる」や動画サイト「ニコニコ動画」などを手掛けてきて、いまも英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人などを続ける、ひろゆき氏。
10万部を突破したベストセラー『1%の努力』では、その部分を掘り下げ、いかに彼が今の立ち位置を築き上げてきたのかを明らかに語った。
「努力はしてこなかったが、僕は食いっぱぐれているわけではない。
つまり、『1%の努力』はしてきたわけだ」
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。
ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
そんな思いから、この企画がはじまった」(本書内容より)
そう語るひろゆき氏。インターネットの恩恵を受け、ネットの世界にどっぷりと浸かってきた「ネット的な生き方」に迫る――(こちらは2020年4月3日付け記事を再構成したものです)
逆張りか、紋切り型か
「アメリカ人は自己主張をし、日本人は空気を読む」
そんな話をよく聞くが、実際に留学したり海外旅行をしたりしても、そのとおりだと感じることが多い。
なぜ、そうなるのだろうか。
人と人の距離に理由があるかもしれない。
日本では、電車やバスの公共交通機関での移動が多かったり、飲食店のスペースも狭いし、集合住宅も多い。物理的に人と人の距離が縮まれば、おのずと相手のことを考えざるを得ない。
あえて他の人と接触しない生活を送るのが効果的かもしれない。自転車で移動したり、歩いたりする時間を増やす。あるいは、家族や職場から離れて1人になれる時間を増やす。そうやって意図的にやらないと、自分の意見を作れない。
会議で無言になっていないか?
仕事の基本は、打ち合わせだ。
人と話をする。それが仕事のベースにあることだろう。
そこで大事なことは、シンプルだが、「とにかく意見を出す」ということだ。
みんな空気を読むことが得意なので、意見を言うことは苦手だ。
そこを逆手にとって、僕は積極的にやるようにしている。
間違っていてもかまわない。量的にたくさんの発言をすることを心がける。
意見を出すことのメリットは、「実作業が自分に投げられることがない」ということだ。
何も発言していない人は、心理的に「じゃあ、私がやります」と言って手を挙げてくれる。こんなにおいしいことはない。
「いつだって、発信者は強い」
というのは、覚えておくといいかもしれない。
いったん逆に張ってみよう
人の意見ばかり聞いて、誰でもできることに手を挙げてはいけない。そこでアピールする人は、99%の努力で解決するタイプの人だ。
そのタイプは、20代の若手なら戦略として正しい。
現場仕事が多くてインプットしている段階であれば、できることを増やしたほうがいい。
ただ、「そのうちどこかで上の立場になってやるぞ」というしたたかさを持っておくようにしよう。そうじゃないと、努力で解決するタイプは年齢が上がると厳しくなってくる。
いろいろなことが満遍なく無難にこなせる人は、たくさんの仕事を依頼され、仕事量が増える。
そして、いつかあなたの代わりが出てくる。
発信者になれるかどうかのポイントが、1つある。
「逆張りで考えられるかどうか」だ。
ふつう、常識的で紋切り型な考えばかりしてしまう。
人と同じ意見は存在価値ゼロ
たとえば、就職活動の場合を考えてみよう。
資格を取ってアピールしたければ、「簿記や英検くらいは取っておこう」と考えてしまうし、出版社の面接を受けるときは、「紙の手触りは素晴らしいですね」と答えてしまう。
こういう人は、紋切り型な思考だ。
逆張りで考える人は違う。
「男ですが秘書検定1級を持っています」
「紙の時代は終わったと思います」
こういうことを言えるのが、逆張り思考の人だ。
世の中は、本当にみんな同じことしか言わない。そんな中で、ちょっと違う視点からモノが言えれば、一気に抜きんでることができる。
もちろん、常に斜に構える必要はないのだが、一度、頭の中だけで逆張りで考えてみるのをクセにしておいたほうがいい。
できれば、「逆にこういうのはどうですかね」と、前置きした上で、口に出してみる。発言をしてみる。
その「1%の努力」の積み重ねで、自分だけのポジションを確立していけるはずだ。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、10万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。