米国経済の回復ペースは他国を引き離しており、国際通貨基金(IMF)はその成長見通しをさらに上方修正した。だが米国の経済成長がこれ以上加速すれば、過去10年間に急増した外国政府・企業発行の米ドル建て債券への影響は、波及にまだ時間がかかるとしても、避けられなくなるだろう。世界金融危機以降、外債の発行といえば「ドル」と「それ以外」という2つの通貨圏の話となっている。ドルを除くすべての通貨での国際債券市場での借り入れは、2008年半ばの水準からほぼ横ばいだ。一方、ドル建て債の人気は高まっている。米国外の発行体による債券残高は10兆ドル(約1100兆円)を超え、リーマンショック前の水準の2倍以上だ。米国経済の復活が新興国市場に与える影響を議論する際、アナリストや投資家は、「サドンストップ(急停止)」――資本の逆流や現地通貨の急落、借り換えが突然できなくなる――という従来型リスクを考えることが多い。