画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアは12日、半導体業界で同社がなぜ一目置かれるべきか、また同社の最も野心的な買収になぜ難しい課題があるのかを一挙に示した。エヌビディアは年次開催のテクノロジー会議「GTC 2021」で新しいデータセンター向けCPU(中央演算処理装置)「Grace(グレース)」を発表した。同社が販売するビデオゲームやデータセンター向けの画像処理プロセッサーとは異なり、新たに投入するグレースは実質的に、インテルやアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の製品が大半を占めるデータセンター向けCPUの狭い市場を奪い合うことになる。このため、エヌビディアのデータセンター向けCPU市場参入のニュースを受け、12日にインテル、AMD両社の株価は4〜5%下落。一方、エヌビディアの株価は取引終了までに6%近く上げた。株価上昇はその後の発表が支援した面もある。第1四半期(2-4月期)の売上高が、2月に行った前回の決算説明会で示した予想を上回る見通しだとしたからだ。前回の予想では全体で72%の伸びを見込んでいた。今回の上方修正は、世界の他市場に広がる厳しい半導体不足がエヌビディアの勢いをそいでいないことを示している。
エヌビディアのCPU参入、アーム買収に暗雲も
競争力は高まるが、アーム買収が複雑に
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