競馬を擬人化したスマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が大ヒットしている。擬人化は最近のゲームのトレンドだが、なぜサラブレッドの擬人化がこれほどウケているのだろうか。その背景を探ってみた。(フリーライター 有井太郎)

引退馬の寄付に2000万円
ウマ娘ヒットで生まれた現象

 スペシャルウィークやサイレンススズカ、トウカイテイオーといえば、競馬ファンなら誰もが知る名馬の名前だが、あくまでその存在を知っているのは競馬界隈のみだった。しかし今、これらの名前を口にしたら、若い世代を中心に多くの人が反応するかもしれない。
 
 しかし、連想するものが「馬」かどうかは、人によって違うだろう。

 たとえば、「スペシャルウィーク」と言われて、生粋の競馬ファンであれば、武豊騎手が初めてダービーを勝ったときの「馬」を想起するだろう。しかし、ダービーを両者同着で制した「ウマ娘」とやらをイメージする人もいるかもしれないのだ…。同じ名前を聞いて思い浮かべるのは、サラブレッドかウマ娘か――。

 そう、スマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の大ヒットにより、こういった現象が起きかねない状態になっている。
 
「ウマ娘 プリティーダービー」とは、かつて実在した競走馬、おもにはGIレースで活躍した名馬を“擬人化”させた少女たち(ウマ娘:うまむすめ)が、競馬さながらに勝利を目指してレースに挑むスマホゲームだ。
 
 プレーヤーは、さまざまなウマ娘をトレーナーの立場で育成。イベントやレースを経験させながら実績を積み重ねていく。ウマ娘それぞれに性格や特性、境遇があり、クリアすべきミッションが課せられている。これらも、モデルとなった競走馬をベースに作られているのだ。
 
 2021年2月末に配信開始された本ゲームは、4月8日に500万ダウンロードを突破。大ヒットと同時に、ウマ娘のモデルとなった競走馬の話題がSNS上で繰り広げられるなど、本物の競馬の人気上昇をも生んでいる。
 
 そんなウマ娘の人気が、異例の事態を起こした。