例えば、大人向けビジネス英会話を中心に教えている語学学校「ミライズ」の例では、帰国を強く推奨し、80名いた生徒のうち60名が帰国した。残り20名はいったん残り、生徒は部屋に滞在したまま、同じ建物内ではあるが、オンラインでクラスルームにいる先生と授業を続けたという。

 この20名は、フライトチケットが週末に取れなかった学生と、6カ月など長めに留学を予約していて、すこし待てば通常化する可能性もあるのではないかとリスクをとった学生で構成されていた。しかし、この20名も、市内に軍隊の姿を目にするようになり、外出にもパスが必要な事態になると、なんとか帰国をしなくてはという行動に移り変わっていったという。

 授業の停止に際して、同校では、「返金」「日本にある校舎での受講」「オンライン受講」「コロナが明けたら留学継続」の四つの選択肢を用意し、生徒の選択はそれぞれに等分されたという。

「返金を選んで、オンラインを申し込み直したほうが金額的には安いにもかかわらず、こちらの事情もくんで返金を求めないでくれた生徒さんもいた。誰も悪くない中で、痛み分けをしてくれたのだと思っている」(ミライズ英会話 取締役COO 渡辺和喜さん)

 勝手な推測ではあるが、これは、自分がこれからも学びたいと思える学校がこれからも継続してほしいという思いもあったのではないだろうか。ミライズでは、対象が大人であり資金的にも余裕があったこと、もともとオンラインレッスンや日本校の整備もあったことから、おおむねスムーズに留学期間が残っていた生徒さんへのレッスンを終えられたという。

 次回は、セブ島に残された3000人もの日本人の状況や、世界で起きた留学キャンセル問題についてリポートする。