00年には、97年の補欠選挙で初当選した小野寺五典元防衛相が選挙区(衆院宮城6区)の有権者に初盆に合わせ線香セットを配ったとして書類送検され、議員辞職した。その後、略式起訴されたが、公選法の「寄付行為の禁止」で国会議員が刑事処分された初のケースだった。

 03年12月には、同年11月の衆院選で初当選した2人が相次いで逮捕された。愛知県警は比例東海ブロックで当選した近藤浩衆院議員(当時、自民)を、埼玉県警は埼玉8区で当選した新井正則衆院議員(当時、自民)をそれぞれ逮捕した。

 近藤氏は04年5月、名古屋地裁で懲役2年、執行猶予5年の判決を、新井氏は同年6月、さいたま地裁で懲役3年、執行猶予5年の判決を受け、それぞれ確定した。近藤氏は逮捕後、新井氏は起訴後に議員辞職していた。

重い大臣の椅子
軽い陣笠のバッジ

 一方、疑惑が取りざたされながら、立件されなかったケースもある。

 14年に法相だった松島みどり衆院議員が選挙区内の祭りで有権者にうちわを配ったとして国会で問題視された。松島氏は「法律の内容を印刷した資料だ」と違法性を否定したが、民主党議員が東京地検に告発。その後、法相を辞任した。告発状は受理されたが、不起訴となった。

 同年のほぼ同時期、経産相だった小渕優子衆院議員もラベルに顔写真が印刷されたワインが有権者に配布された疑惑が浮上。小渕氏は関与を否定したが、松島氏と同じ日、経産相を辞任した。

 線香を配布したとして刑事処分された小野寺氏と、菅原氏、松島氏、小渕氏の事件や疑惑は似た構図だが、決定的な違いがある。それは小野寺氏が「初当選」したばかりの陣笠議員だったということ、そしてほかの3人は現職の大臣で、その職を辞したという点だ。

 前述の近藤氏、荒井氏も同様に初当選だった。加えて、小野寺氏は宮城県警、近藤議員は愛知県警、荒井氏は埼玉県警と、検察ではなく警察が捜査していた。つまり「大臣の椅子」はそれほど重く、陣笠議員のバッジは軽いと言える。