週明けの東京・大阪では、通勤電車は密のまま。宣言が出ても「人流抑制」の効果は薄い。「緊急事態慣れ」と言われるが、人々は政府の言うことなど聞かず、そっぽを向いている。

政府は何をしたのか?
感染源対策は「やっているフリ」

 新型コロナウイルスによる死者は、26日で1万人を超えた。この2月以降、急ピッチで増えている。

 東京では新規感染者が27日は800人を超えた。大阪では1231人。第4波は勢いを増している。感染力が強い変異株へと置き換わり、若年層や子どもの感染も増えている。

 この間、政権は何をしてきたのか。

 コロナが問題化して1年余り、「3密回避」「ステイホーム」「マスク会食」…。政府は行動を縛ることばかりしてきた。

 感染が広がると「緊急事態」を宣言し、人々に不便・不利益を強いる。それが政府のコロナ対策だ。

 人々は未知のウイルスを恐れ、言われるまでもなく自粛し、医療の現場や売り上げが蒸発してしまった事業者は命を削るようにして頑張ってきた。

 その一方で政治家は夜の街で女性と会食を重ね、まともな対応をしてこなかった。

 補選の結果も、緊急事態の空振りも、政権の無策に愛想が尽きた人々の「静かな反乱」ではないか。

 感染症対策には、外してはいけない以下の「3原則」がある。

(1)感染源の隔離(徹底した検査で感染者を見つけ収容する)
(2)感染経路の遮断(ロックダウンなどで人の接触を減らす)
(3)社会的免疫の獲得(ワクチン接種)

 これらは政府の分科会の報告書に載っている項目だが、実際に政府がやっているのは、(2)「感染経路の遮断」だけだ。

 それも自粛するのは国民で、政府は「ベカラズ集」を作って尻をたたくだけだ。

(3)のワクチンはこれから。そして真っ先にやるべき(1)感染源対策は、「体制を整えてやります」と安倍晋三前政権のころから言われているが、できていない。

 新型コロナは無症状の感染者がウイルスをまき散らす。病院に来ない隠れた患者を見つけるには、PCR検査や抗体の検査が欠かせない。

 感染率の高い地域を中心に一般の人を対象にした大規模な検査をして「隠れ感染者」を探し出し、健康な人と分離することが基本だ。