東京都「ひきこもり調査」で介護機関の92%が把握の衝撃、8050問題の実態も判明4月26日、東京都は「ひきこもりに関する支援状況等調査結果」を発表した Photo:PIXTA

東京都は、行政機関や民生委員などを対象とした「ひきこもりに関する支援状況等調査」を初めて実施し、高齢者の介護や医療などを担う地域包括支援センターの92.4%(回答数256件)が、担当地区に「ひきこもりの状態」の人がいることを把握しているという衝撃的な結果をこのほど公表した。そのうち、毎月新たに「中高年ひきこもり層」を把握していると答えた機関は3.9%(回答数10件)に上った。80代の親がひきこもり状態にある50代の子の生活を支える「8050問題」の実態を初めて示したエビデンスとしても注目されそうだ。(ジャーナリスト 池上正樹)

東京都が実施した
「ひきこもり調査」の内容とは?

 調査は、東京都が「ひきこもり状態」の中高年層の増加や家族の高齢化などへの対応の必要性から設置した、「ひきこもりに係る支援協議会」の検討資料とするため実施された。2020年9〜11月にかけて、都内の区市町村や国、都、民間の「関係機関」(664カ所)、「地域包括支援センター」(457カ所)、「民生委員・児童委員」(2580人)の3カテゴリーに対して、合計3701通の調査票を郵送。2349通を回収して集計した。回収率は63.5%だった。

 調査では、「ひきこもり」の定義について、「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6か月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしてもよい)ただし、重度の障害、疾病等で外出できない者を除く」と規定した。

 では、3カテゴリーの調査結果を一つずつ順に確認していこう。