最も効果的な運動強度の
「ややきつい」ペースで歩く

 ウォーキングのペースについて、もう少し深掘りしてみましょう。

 ウォーキングだけではありませんが、運動は「どのくらいの負荷(強さ)」で行うかという「運動強度」で得られる効果が違ってきます。

 運動強度が低すぎると効果は限られるのですが、運動強度が高ければ高いほど効果があるというわけではないのです。

 ウォーキングやジョギングのような有酸素運動では、とくにジム通いしている人であれば「トレッドミル」(ランニングマシン)で、時速6kmで歩くとか時速10kmで走るといった「スピード」を運動強度の物差しにしがちです。

 しかし、同じ時速6kmのウォーキングでも、部活動をしている10代なら息がまったく上がらないでしょうから運動強度が低すぎますし、運動経験ほぼゼロの高齢者には運動強度が高すぎます。

 体力レベルや運動経験の個人差がありすぎるため、スピードという絶対値は運動強度の基準にならないのです。

 では、何を目安にすればいいのでしょうか?

 有酸素運動の運動強度の目安にしたいのは、「その運動をどのくらいつらいと感じたか」を指標化した「主観的運動強度」(RPE)というものです。

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 主観的運動強度はスウェーデンの心理学者であるボルグ博士が考案したもので、考案者の名前から「ボルグスケール」とも呼ばれます。
 とても便利な指標なので、私を含めて世界中のトレーナーが指導の現場で活用しています。

 通常の散歩の主観的運動強度は、おそらく「非常に楽である」「かなり楽である」でしょう。

 全身持久力を高めたいなら、そこから強度を高めて「楽である」を超え「ややきつい」と自覚する歩幅とペースでウォーキングするようにしましょう。

 これは「速歩」と呼ばれる運動強度でもあります。