6 根治しない
仮に、慢性疾患へのセルフケアがある程度確立してよい状態になった(寛解した)としても、ビジネス環境やメンバーは常に少しずつ変化しています。そのため、その後も別の問題として現れたり、再発したりする可能性も十分ありえます。人事異動により、新メンバーが組織になじむうえで問題が生じたりします。
あるいは、競合の新製品の登場によってチームのパフォーマンスが落ちたときに、今までうまく回っていたものが回らなくなったりすることもあるでしょう。
そうすると、対応に追われる中で、背後の慢性疾患的な問題について対応する時間が失われ、雰囲気が悪化したり、問題が頻発したりすることもあります。このように慢性疾患は根治しないのです。
組織の慢性疾患の特徴は、図表1のようになります。
【追伸】「だから、この本。」についても、この本について率直に向き合いました。ぜひご覧いただけたらと思います。
【「だから、この本。」大好評連載】
<第1回> あなたの会社を蝕む6つの「慢性疾患」と「依存症」の知られざる関係
<第2回>【チームの雰囲気をもっと悪くするには?】という“反転の問い”がチームの雰囲気をよくする理由
<第3回> イキイキ・やりがいの対話から変革とイノベーションの対話へ!シビアな時代に生き残る「対話」の力とは?
<第4回> 小さな事件を重大事故にしないできるリーダーの新しい習慣【2 on 2】の対話法
<第5回> 三流リーダーは組織【を】変える、一流リーダーは組織【が】変わる
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経営学者/埼玉大学 経済経営系大学院 准教授
1977年、東京都生まれ。2000年、立教大学経済学部卒業。2002年、同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。2006年、明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。
2006年、早稲田大学アジア太平洋研究センター助手。2007年、長崎大学経済学部講師・准教授。2010年、西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。
専門は、経営戦略論、組織論。ナラティヴ・アプローチに基づいた企業変革、イノベーション推進、戦略開発の研究を行っている。また、大手製造業やスタートアップ企業のイノベーション推進や企業変革のアドバイザーとして、その実践を支援している。著書に『他者と働く――「わかりあえなさ」から始める組織論』(NewsPicksパブリッシング)がある。
日本の人事部「HRアワード2020」書籍部門最優秀賞受賞(『他者と働く』)。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。