3 背後に潜んでいる
慢性疾患にも急性症状があります。花粉症のアレルギー発作をイメージするとわかりやすいかもしれません。もともと上にはよい報告しかしない慢性疾患を抱えている組織では、ケアレスミスや顧客への納期の遅れなどの急性症状が起こりがちです。もちろん、こうした急性症状への対処は大切です。
しかし、たび重なる急性症状に対処できても、背後に潜む慢性疾患にアプローチしなければ、様々な形で問題が頻発するようになります。納期遅れが生じた組織の会議では発言がゼロになったり、会議以外でも会話がなかったりします。
これらは慢性疾患として、根っこではつながっている可能性があります。ただし、パッと見た限りではつながりがよくわかりません。慢性疾患は表向きの急性症状の問題を解決しても、背後に潜む慢性疾患がもたらす問題の発生自体は大きく変化しません。むしろ、慢性疾患に手がつけられていないので悪化していきます。
4 後回しにされがちである
問題があいまい、かつ、背後に潜んでいるので、どこから手をつけたらいいかわからないのも組織の慢性疾患の特徴です。
つい、そういった面倒くさい問題より、目先のわかりやすい問題(納期の遅れ問題→納期の確認の徹底等)への対処を優先し、慢性疾患が何によってもたらされたのか、なぜ繰り返し起きるのかを考えるのは後回しになりがちです。
急性症状的問題は、すぐ解決しようと思うのですが、慢性疾患が多発する理由は明確でないので考えようとしません。そのため、どんどん後回しにされるのです。すると慢性疾患は徐々に悪化し、一見すると関係なさそうな問題も含めて多種多様な問題の発生頻度が上がってきます。
5 既存の解決策では太刀打ちできない
複雑な問題であるがゆえに、既存の解決策で簡単に解決できないのも慢性疾患の特徴です。そのため、経営者にできることも限界があります。部下が会議で発言しないからコミュニケーション研修を受けさせても、一向に解決しそうにない場合、背後に慢性疾患が潜んでいる可能性が高いです。
既存の道具を駆使しながらコンサルティングを頼んでもまったく解決せず、場合によってはさらに状態が悪化してしまうことがあります。