高橋氏は「はだかの王様」の小さな子どもと同じ

 高橋氏が自身のTwitterで、日本を含むG7各国とインドの新規感染者数のグラフを引用して「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイートしたことが、感染者の増加と五輪中止圧力の高まりもあって、「人命軽視」「菅首相の五輪ゴリ押しの本音を代弁している」などと全方向からフルボッコにされた。

 これには、いろいろな意見があるだろうが、日本の新規感染者数がG7やインドと比べて桁違いに少ないのは、誰がどうみても明らかな事実だ。

「台湾やオーストラリアと比べたら日本の感染拡大は深刻だ」と議論のすり替えをする人たちも多いが、五輪開催に関するツイートなのだから、IOCの判断に影響力を持つ主要先進国と比較をしないと意味がないだろう。

 このような「欧米と比べて感染者が少ない」というデータがあるので、IOCは「対策すれば十分いけるでしょう」と五輪開催をゴリ押ししている。もし日本政府が「感染拡大で開催できません」と泣きついてもIOCは冷笑するだろう。まさしく「これで五輪中止とかいうと笑笑」だ。つまり、高橋氏のツイートは、「はだかの王様」の小さな子どもと同じく、目の前にある事実を素直に指摘しただけなのだ。

 もちろん、事実だからといって社会に受け入れられるわけではない。実際苦しんでいる感染者や亡くなった方々がいることに対する思いやりは必要だ。

 しかし、社会のムードにそぐわない場合は全方向からフルボッコにされる。その点においても本件は「はだかの王様」を彷彿とさせる。

 マスコミの多くは「謝罪・撤回はなし」と完全に高橋氏を「罪人」扱いで報じているし、野党は国会で「こんな内閣官房参与でいいのか」なんて追及している。ネットやSNSでも過剰なまでに攻撃をしている。

 ただ、何よりも筆者が本件を「はだかの王様タイプの炎上案件」だと感じるのは、この点ではない。最大のポイントは、「事実を指摘するかどうかのドタバタ劇によって、問題の本質がうやむやにされている」ということだ。