地元の大学などとも連携し
新たな機能性開発にも挑む

 では、AIRPURICの特徴、開発元である同社の強みはどこにあるのか。

 一つ目が、先にも述べた、カーテンの縫製が完成してから光触媒の加工をする点だ。「糸や生地の段階ではなく、縫製後に加工することで、お客さまのお好みの生地、デザインのカーテンへの加工が可能です」と細田氏。1カ所の窓単位といった小ロットのオーダーにも対応している。さらにSEK認証試験で、5回の洗濯後にも効果があることが認められており、メンテナンスフリーを実現している。

光触媒を定着させたオリジナルカーテン「AIRPURIC」の開発で話題を呼ぶ縫製後のカーテンとしては初の「SEKマーク(抗菌防臭加工)」を取得。「AIRPURIC」の注文は同社ホームページで
●有限会社インテリアナガオカ 事業内容/オーダーカーテンの縫製、「AIRPURIC」製造販売、従業員数/31人、所在地/滋賀県米原市西山151、電話/0749-55-1149、URL/i-nagaoka.jp

 二つ目が、防炎性能を損ねないこと。消防庁長官認可の防炎表示ができる「登録表示者」に登録されており、「防炎製品のカーテンへの光触媒加工についても、安心してご利用いただけます」と言う。

 三つ目として、カーテン以外の製品への光触媒加工や大量受注への対応を視野に入れ、新たな加工処理機を導入した点が挙げられる。「椅子のカバーへの抗菌防臭加工のニーズや、大手介護施設からの大量注文にも対応可能な体制を構築しています」(細田氏)。

 既に個人宅の他、大手事業者の「ALSOK介護」をはじめとする介護施設、保育園、学校、ホテル、企業の応接室などさまざまな場所で採用。

 従来から研究開発でタッグを組む滋賀県立大学や滋賀医科大学とも連携しながら、昨今の衛生面への関心の高まりを受け、「新たな機能性についても研究開発を進め、SEK認可を目指してまいります」と意気込む。

 常に最終ユーザーのニーズを見据え、思い切った設備投資で大手が手を出せないニッチな分野にチャレンジし、ブランド化を実現した同社。今後の新たな展開にも注目したい。

「しんきん経営情報」2021年6月号掲載、協力/長浜信用金庫