先日、上海に住む筆者の知人女性も「娘が『母の日』に手作りのカプセル玩具をくれて、開けてみたら中にプレゼントが入っていた」とうれしそうにSNSに投稿していた。“ガチャガチャ”は流行語にもなっているようだ。

 中国語でガチャガチャのようなカプセル玩具は「盲盒」(マンフー)という。「見えない箱」という意味だ。

 カプセル玩具の魅力は何といっても、中身が見えないこと。開けるまで分からないのでワクワク、ドキドキ感が味わえ、射幸心(しゃこうしん=幸運を得たいという感情)もあおられる。一つ買うだけで満足できず次々と買ってしまうので、コレクション欲や中毒にもつながる。日本でもハマっている人が大勢いるが、中国では日本より50年も遅れて、爆発的なブームが訪れたというワケなのだ。

 中国のブームは具体的にどのようなものなのか?

価格は日本より高め
高学歴・高収入女性に人気

 杭州に住む20代前半の女性は2~3年ほど前から「盲盒」を買うようになったという。

「ショッピングセンターでたまたま見つけて、買ってみたら高さ10センチ弱のかわいらしいフィギュアが出てきたんです。シリーズもので10個くらいあるというので、全部買いそろえて、家の棚に並べたいなと思ったんです。違うシリーズも買うようになって、どんどん面白くなりました。最近では地下鉄の駅前など、いろいろなところに販売機があり、ネットでも購入できます。気に入らないものだったら、中古品販売のアプリで売ったり、友だちと交換したりするので問題ありませんよ」(20代前半の女性)

 中国版カプセル玩具にも日本同様、フィギュアやバッジ、雑貨などさまざまな種類がある。また、中国ではカプセルよりも箱タイプのことが多い。

 日本では幼い子どもから大人まで買う年齢層が幅広いのに対し、中国では20歳~30歳くらいまでのZ世代を中心とした若者が圧倒的だ。中国メディア「新浪網」の報道によると、その6割以上が都市部に住む、比較的高学歴、高収入の女性という大きな特徴がある。価格帯は一つ25~70元(約425円~約1200円)ほどと日本よりやや高いが、それでも数百個、数千個買ってしまう人までいるという。