島の環境によって甲羅の形が少しずつ違うガラパゴスゾウガメ島の環境によって甲羅の形が少しずつ違うガラパゴスゾウガメ

 環境に合わせて姿形や食性を変えて生き抜いてきた動植物は、隣あった島でも少しずつ異なります。例えば有名なガラパゴスゾウガメは絶滅した4種を含めて15種類。島ごとに異なる環境に合わせた生態を見せています。そんな神秘の生態系がガラパゴス諸島の魅力であり、すごさでもあります。

マダガスカル島/マダガスカル

モロンダバ郊外で見られる巨大なバオバブの並木道モロンダバ郊外で見られる巨大なバオバブの並木道

 アフリカ大陸の東に浮かぶマダガスカル島も、ゴンドワナ大陸から分裂して以来、一度も大陸と地続きになったことがない海洋島。日本の1.6倍という広大な陸地を「島」と言ってしまってよいのか迷いますが、その巨大な陸地も動植物の独自の進化を助けました。マダガスカル島に生息する動物の80%、そして植物の90%が固有種というから驚きです。

 白黒縞の長い尾が特徴的なワオキツネザルや2足歩行で横っ飛びするベローシファカなど人気のキツネザルもマダガスカルの固有種です。

小笠原諸島/日本

世界遺産に登録された南島。扇池のほとりに白い砂浜が広がる世界遺産に登録された南島。扇池のほとりに白い砂浜が広がる

 大陸と地続きになったことがない海洋島は、日本にもいくつかあります。最も有名なのは本州から南へ1000kmに浮かぶ小笠原諸島でしょう。アクセス方法は船だけ、しかも24時間かかるという島好き憧れの地です。

 絶海の島々で暮らす動植物は独自に進化し、その自然環境と稀有な生態系は2011年に世界遺産に登録されました。小笠原諸島で見られる植物の36%、昆虫類の28%が固有種。カタツムリなど陸産貝類にいたっては94%が固有種といわれています。

奄美大島/日本

中南部には日本で2番目に大きなマングローブの原生林が広がる 写真提供/鹿児島県観光連盟中南部には日本で2番目に大きなマングローブの原生林が広がる 写真提供/鹿児島県観光連盟

 もうひとつ、日本の島のなかから2021年7月に世界遺産に登録される見込みの奄美大島を紹介します。奄美群島最大の島は、亜熱帯の森に覆われた豊かな自然が魅力。深い森は天然記念物のアマミノクロウサギをはじめとした希少な動植物の宝庫です。

 今回の世界遺産の登録勧告も、雄大な森にある多様な生物相が評価されたもの。同じ奄美群島の徳之島や沖縄本島の北部、西表島とともに世界自然遺産に登録される予定です。

 日本の世界遺産は23ありますが、ほとんどが文化遺産で自然遺産は屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島の4つのみ。今回の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」は、ようやく認められた5つめの自然遺産。これだけ見ても、いかに貴重な自然が残っているのかがわかります。