総事業費は684億円。宇都宮市と芳賀町が軌道整備事業者として線路や車両を整備し、宇都宮市や芳賀町、地元経済界、交通事業者等が出資する宇都宮ライトレールが、これら設備を用いて鉄道を運行する、いわゆる公設型上下分離方式で整備される路線である。

 なぜ、宇都宮に国内初の新設LRTが整備されることになったのか。

 宇都宮市の清原工業団地にはキヤノンなど、芳賀町の高根沢工業団地には本田技研工業(ホンダ)など、数多くの工場や研究所が立地しており、例えば宇都宮駅東口から出発するキヤノンの社員専用通勤バスは朝6時台から7時台にかけて16本、ホンダの通勤バスは6時台から8時台にかけて24本が運行されている。

 このほか、多くの市民が自家用車で通勤しており、宇都宮市東部は慢性的な渋滞に悩まされている。これらを緩和するとともに、少子高齢化が進む中で、車を運転できない人も市内を移動できる環境を整えるため、LRTを中心とする公共交通ネットワークを構築するというのがその整備目的だ。

 2019年に行った需要予測では、平日1日当たりの利用者数を約1万6000人、うち9割近くが通勤・通学利用であると見込んでいる。

ICカードリーダーを
全ての扉に設置

 今回、搬入された「HU300型」車両は、軽量軌道交通を意味するLRT(ライトレールトランジット)と、雷が多いことから「雷都」と呼ばれる宇都宮の異名を掛け合わせて、愛称「ライトライン」と命名された。

 何度もデザインを見直して「ワクワクして、見て、乗ってもらえるよう」にしたという流線形の前頭部は、稲光をイメージした鮮やかな黄色と、黄色を引き立てるダークグレーで彩られており、これまでの低床式車両にはない個性的な車両となった。