設計にあたっては「快適な移動を全ての利用者に提供するデザイン」をコンセプトに、高いバリアフリー性を確保したほか、全ての利用者が快適に利用できるようユニバーサルデザインを採用した。

 前述のように工場通勤者の長距離利用を見込んでいることから、車両長を軌道法が定める最大値である約30メートル、車体幅を国内低床式車両では最大となる2650ミリとし、低床式車両としては最多となる座席50席、定員160人を確保した。

 座席はクッションを厚めにして、鉄道の通勤電車並みの座席幅として居住性を高めた。また1編成に2カ所の車いすスペースと1カ所のフリースペースを設置し、ベビーカーや自転車などの持ち込みにも対応する。

車内筆者撮影

 特徴は、全ての扉にICカードリーダーが設置されていることだ。通常、路面電車ではバスと同様、運転席近くの扉で運賃を支払って降車するが、乗客が多いと降車に時間がかかり、速達性や定時制が損なわれる事態となっていた。

扉筆者撮影

 一部の事業者では車掌を配置し、降車用の扉を増やす対応も行っているが、そうなると今度は人件費が増えてしまう。そこで、利用者がICカードで適切に運賃を支払うことを「信用」し、全てのドアを開閉することで、迅速な乗降を可能にする信用乗車方式を国内で初めて全面的に導入する。

 ライトラインでは乗車時と降車時にそれぞれタッチしやすいよう、各扉2カ所のカードリーダーを設置した。乗車用のカードリーダーは車外側に、降車用のカードリーダーは車内側に傾けて設置してあり、利用者が間違える心配はない。

 宇都宮ライトレールでは約14.6キロを44分、表定速度では時速約20キロで結ぶ計画で、これは広島電鉄の時速約9キロ、東急世田谷線の時速約17キロなど、他の都市の路面電車と比較しても高速だが、それを支えるのが信用乗車方式というわけだ。