自動車を持っている人の多くは、強制加入の自賠責保険に加えて、それだけではカバーできない事故に備えて任意の自動車保険にも加入している。だが、自動車保険の普及率は都道府県によって大きな差がある。自動車保険に加入していない「無保険自動車」が事故を起こした場合、被害者は賠償金を受け取れないリスクもある。(ダイヤモンド編集部 松本裕樹)

自賠責保険だけでは
被害者救済でトラブルの恐れ

 今回のランキングでは、損害保険料率算出機構の統計データを基に、自動車保険の普及率(2020年3月末)が高い都道府県順に並べた。

 そもそも自動車に関する保険には、加入が義務付けられている「自賠責保険」と、任意に契約する「自動車保険」がある。

 自賠責保険は自動車事故での被害者を救済する保険のため、補償範囲は対人賠償(事故被害者の治療費や慰謝料など)に限られる上、保険金の支払い限度額は、死亡、後遺障害で3000万円(ただし後遺障害で常時介護の場合は4000万円)と定められている。

 賠償金の不足する分は自動車保険などで補填する必要があるが、事故を起こした相手が自動車保険に入っていなければ、賠償金を支払うことができず、トラブルになる恐れがある。

 また、先述の通り、自賠責保険の補償範囲は対人賠償に限られているため、事故を起こした自動車保有者や搭乗者の死傷には適用されず、他人のモノや公共物などを壊した場合も補償の対象外となる。

 では自動車保険とはどういうものなのか。

 自動車保険の補償は(1)他人への賠償と(2)自分への補償に分かれる。

 そして(1)他人への賠償において、他人を死傷させた場合は「対人賠償責任保険」、他人のモノを壊した場合は「対物賠償責任保険」で補償。

 また、(2)自分への補償において、自分や搭乗者が死傷した場合は「人身傷害保険」や「搭乗者傷害保険」、自分の車が壊れた場合は「車両保険」で補償することになる。

 いずれにせよ、交通事故の被害者側から見れば、自動車保有者の多くが自動車保険で「対人賠償責任保険」と「対物賠償責任保険」に加入しているほうが、万が一の際の安心材料となるだろう。