経済再開に伴う「リオープニング取引」が、王者ドルに大きな困難を突きつけている。だが、この「君主」がどれだけ自らの権力を手放すかには限界があるだろう。主要16通貨のバスケットに対するドルの価値を示すウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)ドル指数は4月初旬以降、ほぼ一本調子で下げてきた。だが、4日公表された5月の米雇用統計で就業者数が市場予想を下回ったにもかかわらず、ここ1週間は底堅い動きをみせている。これはドル安がほぼ一巡した兆候かもしれない。その通りなら、一部の市場から強力な追い風が取り除かれることになる。ドル建て資産の価格は為替変動を相殺しようとする傾向があるためだ。例えば、コモディティー(商品)は新型コロナウイルス危機が始まって以降、ドル建てで32%値上がりしているが、ユーロ建てでは17%の上昇にとどまる。ここにきて商いが活発化している原油については、上昇分の約3分の2がドル安によるものだ。
ドル安トレンド、いよいよ終えんか?
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