その結果、開催1カ月前にして大会のあり方が全く決まっていない異常事態となってしまったのである。

 当然、無観客と有観客では必要なボランティアや医療スタッフの数も異なってくる。観客を入れるとしてもチケットの再抽選が必要になるが、その準備が間に合わないという問題もあるなど、関係各所がオリンピックに振り回されているのが現状だ。

終電延長を行うかどうか
結論が出ない鉄道業界

 そして鉄道業界もまた、この問題のあおりを受けている。大会期間中の終電延長を行うか、行わないか、いまだに結論が出ていないのである。

 というのも、東京オリンピックではバスケットボールやバレーボール、サッカーなどの競技は、アメリカでのテレビ放映時間などの関係で23時頃まで競技が行われる。

 そのため観客が山手線や地下鉄など都心の鉄道ネットワークを経由して各方面の列車に乗り継いで帰宅できるよう、大会期間中、東京圏のJR、私鉄、地下鉄は最終列車の発車時刻を1~2時間程度繰り下げることが決まっていた。

 具体的には、山手線内回りは通常では大崎駅0時23分池袋駅行きのところを、同1時30分発に、外回りでは大崎駅0時42分発池袋駅行きを同1時40分発に繰り下げる。

 また山手線と接続し郊外に向かう路線では、たとえば中央線快速は東京駅0時27分発武蔵小金井駅行きを同1時30分発に、常磐線快速は上野駅0時51分発松戸駅行きを同1時50分発に繰り下げる。

 元々終電時刻の早いローカル線区では大幅に繰り下げられ、八高線は八王子駅23時14分発高麗川駅行きを同1時10分発に、外房線では千葉駅23時59分発大網駅行きを同1時40分発にする計画だった。