アトラクション開発は
参加体験から「感覚刺激」へ

 これらの新型アトラクションは、参加体験性はいうまでもなく、人間のさまざまな感覚を刺激して演出している。そのため、ひと昔前のアトラクションよりも、臨場感や没入感が高まっている。より深い感情移入ができるように、いわゆる五感(視覚、聴覚、臭覚、触覚、味覚)だけでなく、圧覚、振動覚、温度覚、平衡感覚、運動覚、位置覚、重量覚、痛覚など、さまざまな感覚刺激を駆使するのが開発トレンドだ。最新の研究では、着席時に「温度覚」を刺激する試みもみられる。

 そして、利用者から得られる情報をアトラクションに反映する「双方向性」にも注目したい。利用者の反応や感情は、表情や目線、声、体の動き、体温、心拍数、発汗、皮膚電位などを読み取り、感覚刺激に反映させられるようになるはずだ。となると、アトラクションのストーリーはひとつではなく、さまざまな条件に応じて異なるストーリーを体験できるようになっていくに違いない。

 さらには、ゲスト自身が行動データを積極的に提供することで、データの蓄積と活用の循環が生まれ、スキルアップや成長を楽しむゲーム要素は、ますます発展するだろう。

 こうした技術進化は、最終的に、すべてのゲストに同じサービスを提供することを見直すことにもつながる。個々のゲストの蓄積した行動データと嗜好(しこう)性、その時の気分なども踏まえ、提供するサービスやコミュニケーションを臨機応変に変えられるようになるはずだ。具体的には、パークに年1回しか来ないゲストと、年数間、さらには年10回、あるいは年100回以上来るゲストでは、楽しみ方や行動パターンが異なることが多い。そのため、初級者向けから、中級者、そして上級者へと、利用の度合が高くなるほど楽しみ方も発展していくような仕組みができるとよい。

 スマホのアプリなどと連携した、パーク来園前、来園中、来園後の使い方も工夫次第である。アトラクション利用が、パーク外での楽しみ方に関連づいていたり、パークに来る前の準備につながっていたりといった時間的な連携を工夫することも重要な視点である。この機能が定期的に進化することで、さらにその利用は活性化していくだろう。

 テーマパークのアトラクションは、まだまだ発展する可能性を秘めている。今後、TDSなどのディズニーパークに登場する最新のアトラクションに、こうしたチャレンジが組み込まれることを大いに期待する。