「ウマ娘」がサイバーエージェントの
時価総額も業績も押し上げた

「ウマ娘」の大ヒットは大きな経済効果をもたらしています。アプリがリリースされた直後からサイゲームスの親会社であるサイバーエージェントの株価は上昇を続け、3月の時点で2000年の上場以来初めて時価総額1兆円に到達しています。

 最新の21年第2四半期(21年1〜3月)の決算では、グループ全体の売上高が前年同期比26.6%増の1634億円、営業利益は同2.1倍の258億円、ゲーム事業に限定すると売上高が同42.7%増の639億円、営業利益は同2.2倍の232億円といずれも大幅増となりました。その原動力となったのが、この第2四半期にリリースされたゲーム2タイトル、「ウマ娘」と「NieRRe[in]carnation(ニーア リィンカーネ ーション)」です。

 その結果、サイバーエージェントは21年9月期通期で想定していた営業利益や当期純利益を半期で達成してしまいました。その後も「ウマ娘」の人気はさらに高まっていることもあって、4月28日に同社は21年9月期通期の業績予測を大幅に上方修正するなど、大きな経済効果を生み出し続けています。

桜花賞の売り上げが上昇!
競馬界への影響

「ウマ娘」には競走馬のみでなくレースも実在のものがいくつも登場し、牝馬三冠の一つである「桜花賞」もゲーム内で重要なレースとして登場します。21年4月11日に開催された桜花賞では前年比30%増の182億円以上を売り上げました。

 もちろん、新型コロナウイルスや悪天候などによって昨年の売り上げが下がっていたという点や、白毛馬初のクラッシック優勝を果たしたソダシの人気などいくつかの要因があり、一概に「ウマ娘」効果とはいえません。しかしSNSなどの声を見ると、実際にこのゲームをきっかけとして競馬に興味を持ったという若年層が多いのも事実です。また、コロナ以前の2019年の桜花賞の売り上げは168億円となっているため、コロナの影響を無視しても売り上げはアップしていることが分かります。

 その他の競馬業界への影響の例としては90年代に活躍し、現在は引退馬として余生を過ごしているナイスネイチャの支援を目的として行われた「ナイスネイチャ33歳のバースデードネーション」があります。当初の目標額は200万円でしたが、最終的には3500万円以上の支援が寄せられました。ナイスネイチャは「ウマ娘」にも人気キャラクターとして登場しており、寄付金を募ったクラウドファンディングサイトにも「ウマ娘」の影響でナイスネイチャのことを知ったといったの支援者のコメントが見受けられます。

「ウマ娘」はアプリとしてリリースされてからまだ半年も経過していませんが、すでに競馬業界にも影響を与える存在になりつつあります。