北朝鮮問題の解決に向けて
国際社会をリードしない韓国

 韓国は分断国家である。そのため、その外交は常に北朝鮮のことを中心に置いてきた。一方で、世界の中の韓国の位置づけ、韓国が世界の中でどのような役割を果たすかについては視野に入っていなかった。

 しかし、その北朝鮮に対しても文政権は「おもねる」ばかりであり、北朝鮮の核・ミサイル開発を断念させようとする国際社会の努力に対して水をかけている。また、北朝鮮を怒らせないようにとの意識が先走って北朝鮮の人権問題にも無頓着である。

 文大統領は、「北朝鮮に非核化の意思がある」と米国のトランプ前大統領を説得して米朝首脳会談の開催を実現したまでは良かったが、その後は米朝双方に偽りの情報を流して過剰な期待を抱かせ、会談の失敗を招く原因を作ってしまった。

 北朝鮮に対する石油の瀬取り、石炭の輸出禁止の網を潜り抜け違法な取引を行っている韓国船舶や業者の行動を防いでいない。また、米国の目を避け、北朝鮮に対する人道支援の抜け道を模索している。

 北朝鮮の人権侵害については目をつむってきた。国連における北朝鮮の人権決議案に消極的な姿勢を取り続けるばかりか、北朝鮮の脅しに屈し、対北ビラ散布禁止法を策定し、北朝鮮住民の知る権利を侵害した。

 朝鮮日報によれば、「転換期正義ワーキンググループ」の法律分析員のシン・ヒソク博士は、韓国は人権問題について「北朝鮮例外主義」を適用しており、今の政権は北朝鮮の人権侵害について、単に沈黙したり不作為であったりするにとどまらず、積極的に加担・同調していると批判している。

 文政権は、北朝鮮を一方的に擁護するだけである。文政権がしようとしていることは北朝鮮をいかに正常な国家とするかということに努力を傾けるのではなく、金正恩政権を延命させ、偽りの平和に満足して、結果として核・ミサイル開発を継続させることである。

 韓国は北朝鮮について、国際社会をリードし、日米と協力して核・ミサイル開発問題の解決の道筋を示すべきだが、それすらも行わないのであれば、協力パートナーとはなりえず、G7の一員ともなりえないだろう。