中国におもねる韓国の参加は
G7合意を妨げるおそれも

 今回のサミットの最も重要な課題は、米中の覇権競争が本格化し、中国が国際ルールを無視して、技術覇権を模索、領土の拡張を図る中で、民主主義国が一堂に会して中国の台頭に対する共同戦略を策定できるかであった。バイデン氏はそのため、G7に韓豪印を加えたD10首脳会議の構想を就任前から明らかにしていた。

 文政権は先の米韓首脳会談の共同声明で「米韓は規範に基づいた国際秩序を阻害、不安定、または威嚇するすべての行為に反対する」と明記した。また、世界的なサプライチェーンの再編に韓国が主導的に参加することにも合意した。

 しかし、文政権は中国を意識して、インド太平洋における日米豪印の戦略対話「クアッド」への参加に消極的であり、文大統領が米国から帰国した後、中国に対する説明と言い訳に明け暮れている。G7サミット前には、中国の王毅外相が鄭義溶(チョン・ウィヨン)外相に電話し、韓国の切り崩しを図っている。

 中国が東アジアで覇権を求める活動を続ける中、米中間のてんびん外交を進める韓国。そのような韓国はG7と価値観を共有する国とはいえないだろう。仮に韓国がG7に入れば中国の切り崩し工作は一層激しくなり、韓国がG7の合意を妨げることになりかねない。

韓国がG7参加を望むなら
国際法を守る国になるべき

 韓国の裁判所では、これまで慰安婦問題で日本政府の主権免除を認めない判決や、徴用工問題で日本企業の資産差し押さえを認める判決が出てきた。こうした一連の判決は国際法を無視するものである。

 今年に入りこうした国際法を無視した判決が覆っているが、いまだに過去の憲法裁判所や、大法院(最高裁)の判決が残っている。しかも従来の判決には文大統領の意向が反映されていると考えられている。

 そればかりか、竹島について李承晩ラインを宣布してその中に竹島を取り込んだのが韓国である。竹島は国際法的にも歴史的事実を見ても日本の領土なのにもかかわらず、韓国は竹島が領土問題であることも否定し、日本が韓国から奪った歴史問題と主張しており、感情的な反発を繰り返すだけである。