銀座Photo:PIXTA

新型コロナウイルスの猛威は当然、日本一の繁華街をもどん底に陥れた。1階店舗の空室状況は過去最悪で、ワクチン接種の進展まで耐えられなかったテナントは多い。だが、やはり銀座は、銀座。コロナ後の復活に向けた布石が打たれている。(増田不動産研究所所長 増田富夫)

銀座の主要エリアをくまなく歩いて調査
毎年5月の恒例行事で見えたものは?

 私は毎年5月、東京・銀座の不動産について調査を実施している。ゴールデンウイークの長期休暇を活用し、主要エリアをくまなく歩いてテナントの出退店状況などを調査してきた。

 これは、私が以前の勤務先にいた2001年12月13日に契約し、以後の銀座の1階店舗賃貸借条件を飛躍的に上昇させた、晴海通り沿いの対鶴館ビルに入るコーチ・ジャパンとの契約後の、私の変わらぬ行事となっている。

 コーチとの契約は、1.定期建物賃貸借契約であること、2.1階と2階セット貸しのならし賃料であること、3.当時の賃料としては、破格の坪当たり20万円であったこと――などが特徴だ。

 それがため、銀座の1階店舗賃貸借条件は、銀座の主な通りに面した代表的な有力物件を中心に、定期建物賃貸借契約かつ、多層階で坪当たり20万円以上の賃貸事例が続出することになった。

 銀座の1階店舗賃料の上昇は、90年代のバブル崩壊の影響も減少した21世紀の訪れとともに、銀座の不動産価格の急上昇という形で出現することになった。

 世界的な金融と不動産の融合業務の浸透も顕著となり、いわばマネーゲーム化が進展した。銀座の商業地の不動産価格は、21世紀の最初の20年間、おおむね次のような経過を経て、現在に至っている。