窓側の座席の子どもがくしゃみや咳(せき)をしている。近くの席の乗客は、子どもが新型コロナウイルスに感染していて、ウイルスをまき散らしているのではないかと不安になるが、子どもの母親はアレルギーだと主張している。客室乗務員からは自分たちにできることはないと言われた。これは筆者の友人の経験だが、新型コロナの大流行が始まってから、飛行機で移動する人々にとって、体調が悪い乗客の同乗は深刻な問題となっている。具合が悪くても乗客が飛行機に乗るのは大きな金銭的動機があるからで、その動機を与えている航空会社の対応を巡り議論が高まっている。乗客が体調を崩して予定を変更した場合、ほとんどの米系航空会社や世界の多くの航空会社は、事前購入した割引航空券と新たな航空券の差額の支払いを乗客に求める。つまり乗客は制限のない片道の当日運賃を支払うことになるわけだが、通常数百~数千ドルは高く、払う余裕がない人もいる。喜んで払う人は誰もいない。