埼玉vs千葉 勃発!ビジネス大戦#2Photo:123RF

EC需要の高まりで、注目が集まる物流。「大消費地・東京」に近い埼玉と千葉には物流施設が乱立している。そして2021年以降、主役になりそうなのが千葉だ。“物流王国化”を加速させている千葉で、何が起きているのか。特集『埼玉vs千葉 勃発!ビジネス大戦』(全10回)の#2では、埼玉と千葉で繰り広げられている物流施設の開発模様をお届けする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

※本特集は当初「全7回」構成でしたが、7/23(金)~25(日)配信の記事3本を加えて「全10回」構成に変わりました

コロナ禍で物流業界が熱い!
恩恵を受ける埼玉と千葉

「同じ物流施設内で働く人の取り合いが起きている。2階のテナントで働いていたスタッフが、いつの間にか4階の別のテナントにいたりする」。首都圏のある物流施設に勤める社員はこう苦笑いする。施設内で人の“引き抜き合戦”が発生するほど、今盛り上がりを見せているのが物流業界だ。

 追い風となったのは新型コロナウイルス感染拡大に伴うEC需要の高まりだ。物流施設の空室率は歴史的な低水準で推移する。

 不動産サービス会社CBREによれば、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は、2020年は年間を通して1%を切り、21年1~3月も1.1%だった。コロナ禍前の19年1~3月の空室率4.9%と比べれば、物流施設のニーズは際立つ。

 新たな物流施設の開発も相次いでおり、21年の新規供給貸床面積は過去最高だった19年を抜くもようだ。

 大手デベロッパーも物流施設に熱視線を送る。オフィスビルならば、テナントとの契約期間は2年など短いケースもあるが、物流施設では10~20年といった長期契約も珍しくなく、安定収益につながる。

 三井不動産の三木孝行ロジスティクス本部長は、これまで年間4物件程度だった物流施設の新規投入目標を、6~8物件程度にまで拡大する方針を掲げ、アクセルを踏み込む。

 そんな沸き立つ業界の恩恵を受けているのが、埼玉県と千葉県である。大消費地・東京に近い両県は昔から物流施設の好立地として活用され、足元でも競うように大型開発案件が相次ぐ。

 即日配送需要の高まりも、茨城県をはじめとした北関東よりも埼玉や千葉に注目が集まる理由の一つだ。

 こうした埼玉vs千葉の物流の拠点競争で、攻勢に出ているのは千葉である。しかも22年に至っては埼玉にダブルスコアをつけて圧勝する見込みで、“物流王国”化を加速させている。