人口増加率で4年連続1位(全国792市中)を走る千葉県流山市。その要因は子育て世代の大流入にある。市が仕掛けた施策を井崎義治市長自らが明かした。特集『埼玉vs千葉 勃発!ビジネス大戦』(全10回)の#7では、流山市長に人口増加の極意と、“市のライバル”を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)
流山市長就任時に「二つの危機」
「怖くて夜、寝られない日もあった」
――千葉県流山市は人口増加率が全国792市で4年連続1位です。人口増加に本気で取り組もうと思った背景は。
私が市長に就任した18年前、流山市には「二つの危機」が迫っていました。
一つが急激な少子高齢化の危機。昭和30~40年代、地方から東京に出てきた団塊の世代がマイホームを取得する年齢になり、流山市に引っ越してきました。ですから流山市は、全国平均よりも団塊の世代の割合が高かった。彼らが一斉に定年退職になれば、市の財政悪化や行政サービス水準の低下につながってしまいます。
特に市民は所得が比較的高い人が多く、例えば年収1000万円の人が退職して、年金生活で100万円前後の収入になってしまえば、税収は大きく減少します。加えて年を取れば取るほど、民生費も高くなる。市の経営として、若い人たちを流山市に転入させる仕掛けを作らざるを得なかったのです。
もう一つは、2005年のつくばエクスプレス(TX)の開業です。TX沿線の開発では、流山市の面積の約5分の1が区画整理の対象でした。
これが売れ残ったら財政的にまずいなと。仮に全て売れ残ってしまえば、市は約594億円を負担しなければなりませんでした。ですが、03年の市の税収は約190億円しかないわけです。
全部売れなかったら、もちろん破綻ですけど、売れ残りが出たり、安くしか売れなかったりしたら、財政危機に直面します。そのことを考えると、怖くて夜も寝られないぐらいでした(笑)。
急激な少子高齢化を乗り越え、TXの沿線開発で財政危機を招かないためにどうすればよいか。そのためには、TX沿線で一番早くかつ一番高く売れる町をつくればよい。市長就任からの18年間、ずっと取り組んできています。
――子育て世代が大流入しています。どういった施策を行っているのですか。