病院の危機#1
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病院に新型コロナウイルス感染症の患者が押し寄せた。一方でそれ以外の疾患では、病院へ治療に訪れる患者が激減。この影響で多くの病院が赤字に陥った。特集『病院の危機』(全6回)の#1では、重篤な患者を治療する「急性期」の入院収益に着目し、コロナ影響度をランキングした。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)

稼ぎの柱である入院患者が激減
多くの病院が赤字に陥った

 新型コロナウイルス感染拡大により、病院にはコロナ感染症の患者が押し寄せた。一方でそれ以外の疾患では、病院へ治療に訪れる患者が激減した。

 この影響で多くの病院が赤字に陥った。外来はもちろん、稼ぎの柱である入院も激減したためだ。医療コンサルティング会社であるグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)によると、4~5月の入院患者数は前年同期比で約2割減った。

 GHCの調査した4~5月の疾患別入院患者数の動向を見ると、急な体調不良やけがによる「緊急入院」ではウイルス性の肺炎や腸炎、急性気管支炎などが激減した(下表参照)。肺炎や腸炎などの患者1人当たりの平均入院収益は30万~70万円ほど。病院経営の視点で言えば、患者数が減った分、入院収益を失ったことになる。

 事前にスケジュールが組まれている「予定入院」では白内障手術、心臓カテーテル検査(狭心症、慢性虚血性心疾患)、ポリープなどを切除するポリペク(小腸大腸の良性疾患)といった従来は患者数が多い疾患でも激減。これらほどではないものの、迅速な手術が必要ながん患者の入院までも減少し、病院離れは顕著だった。

 アキよしかわ・GHC会長によると、入院が減った理由は病院側が予定の手術を延期し患者の受け入れを制限したことや、患者側の需要が減ったことにある。

 需要が減ったのは、感染予防対策の徹底や休校で感染症が減ったことに加えて、病院を避けるという行動変化が起きたという要因がある。病院は感染リスクが高い怖い場所と認識したり、コロナ対応に追われている医療現場に対するハードルが高くなっていたりして、待合室をサロン代わりにしていた高齢者たちは姿を消した。

入院収益がどれくらい減ったのか
全国2000病院をランキング

 では、各病院はどんな経営状態なのか。ダイヤモンド編集部では、重篤な患者を治療する「急性期」の入院収益に着目し、「コロナ影響度」として4~5月の入院収益減少額をランキングした。

 ランキング作成では、厚生労働省による2018年度のDPC(診断群分類包括評価)導入の影響評価に係る調査「退院患者調査」に参加した全国4764病院を対象に、厚労省が公開している個別病院のデータ、およびGHCが保有する疾患別入院収益の全国平均額や全国平均増減率のデータを利用。各病院の18年度の疾患別入院患者数(急性期)に、今年4~5月の疾患別入院患者数の全国平均増減率(前年同期比)を反映して、各病院の4~5月の入院収益減少額(急性期)を概算で推定した。

 冒頭でレポートしたような入院患者数の変動と同様のことが今年4~5月に各病院で起きたという前提で、18年度における各病院の患者数や疾患内訳の実績から、各病院の4~5月の入院収益にどれだけ影響が出たのかを推定したのである(ランキングの作成方法の詳細は後述)。

 では、そのランキングを見てみよう。