米国経済からあふれ出す大量のマネーが世界中へ押し寄せ、何十年も目にしたことのないほどに世界経済の回復を駆り立てている。米国民の旺盛な需要を満たすため、企業は設備投資に乗り出している。約6兆ドル(約663兆円)の景気刺激策に支えられた米経済は世界中の製品を欲している。米国は今、2008年の金融危機後に中国が果たした役割を担っていると、エコノミストらは口をそろえる。他の国々は世界最大の経済国である米国からほとばしる需要をおおむね歓迎しているが、その影響力は各金融市場に波及し、東アジアの輸送障害のような混乱や通貨への影響、コモディティー(商品)価格の上昇をもたらしている。米国は2000年代半ばまで世界経済の成長にとって主な原動力となっていた。だがそれ以降は、爆発的な成長を遂げた中国にほぼ取って代わられた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の打撃から早々と回復した中国はなお力強く成長を続けるものの、政府は与信抑制に動いており、成長ペースは年後半に鈍化するとみられている。