「世界は炎に包まれて終わりを迎えるという者もいれば、氷に閉ざされて終わるという者もいる」。米詩人ロバート・フロストによるこの一節はインフレ議論に関するものではないが、そうとも言えるかもしれない。われわれはこの炎の兆候を目にしている。米労働省が13日公表した6月の消費者物価指数(CPI)は、前月比0.9%上昇した。前年同月比の上昇率は5.4%と、前年比としては2008年8月以来の大きさだ。基調インフレのすう勢をより正確に反映するとされるコアCPI(変動の大きい食品・エネルギー除く)は前年比4.5%上昇と、1991年11月以来の水準に跳ね上がった。ここで最も大きな問題となるのは、物価上昇がどの程度、一時的かという点だ。新型コロナウイルス危機の早い段階では物価が弱含んだため、前年との比較ではまだ、正確な見極めは難しい。一方で、物価の押し上げ要因の一部は、それほど持続力があるようには見えない。例えば、中古車価格は前年比45%急上昇したが、これは車需要が引き続き伸びているにもかかわらず、サプライチェーン(供給網)の制約で新車供給が限られていることが要因だ。
米インフレ率、この先「中火~強火」程度か
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