歴史的に国をまたぐクロスボーダー案件に強みがあったアンダーソン・毛利・友常法律事務所。2021年1月にこの強みをさらに磨くべく、外国法共同事業を開始した。グローバル化を急ぐ背景にはどのような考えがあるのか。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の特別編では、加畑直之パートナーらに話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
クロスボーダー業務拡大のために
外国人弁護士の採用を強化
――五大法律事務所の中で、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の強みはどう定義されているのですか。
加畑直之 われわれの事務所は、歴史的な経緯もあり、国をまたぐクロスボーダー業務が伝統的に強いです。その強みをキープするだけではなくて、もっと広げていく必要があります。
そのために今年の初めから、外国法共同事業を開始しました。大手だと、TMI総合法律事務所はかなり早い段階に始めていますが、いわゆる四大法律事務所の中では、われわれが初めての取り組みです。
これは簡単にいえば、外国法事務弁護士と真正面から共同事業ができて、利益分配もできる制度です。つまり、外国法事務弁護士を真の意味でわれわれのパートナーにできるようになります。日本の弁護士法では、日本法の弁護士ではないと真の意味でのパートナーにはできません。
外国法の領域で仕事をするためには、優秀な外国の弁護士を採用し、働き続けてもらうことが必要です。法律事務所におけるポジションとして、パートナーは別格です。優秀な外国人の弁護士は、みんなパートナーを目指します。
そのためにも、われわれの事務所における彼らのキャリアパスや、事務所に対する最終的な貢献のかたちを明示しないといけなかった。そうした理由から、外国法共同事業へと大きくかじを切りました。
すでに、パートナー扱いではなかった4人の弁護士をパートナーに登用しています。
――外国法共同事業を始めていない法律事務所にも、「ニューヨーク州弁護士」などと名刺に記した弁護士はいます。それとは何が違うのでしょうか。