五大法律事務所の中で、独立心旺盛な弁護士が多数在籍するといわれる森・濱田松本法律事務所。これまでも日本の法曹界を代表するような有名弁護士を多数輩出してきた。一方で、組織力を保つために事務所をまとめるのは、五大の中で最も難しい事務所なのかもしれない。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の特別編として、事務所トップの棚橋元・弁護士に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)
個人型弁護士が多いが
各分野の第一人者の集まりだ
――森・濱田松本法律事務所としての強みはどこにあるとお考えでしょうか。
どの分野も自分たちが一番だという意識でやっています。これだけ企業のリーガルニーズが高まっていますので、幅広く対応していこうと考えていくと、この分野だけしかできない、この分野はできないということはないようにしなければなりません。
事務所としては、昔からそうですが、新しい分野を開拓していこうという意識を持ってやっています。若い弁護士がチャレンジしやすい分野でもあるからです。例えばフィンテックは私たちが他に先駆けてやっていったという自負があります。
今は社会的なテーマ、例えば再生可能エネルギーの案件などを手掛けています。こういう新しい分野になりますと、経験の有無というよりは、どれだけイノベーティブに考えられるかが重要になりますので、若い弁護士も十分に戦っていけるのです。私たちの事務所では、伝統的に新しい分野にチャレンジすることに重きを置いています。
もちろん、訴訟業務やM&A、キャピタルマーケット、ストラクチャードファイナンスなどの分野でも、若手や中堅弁護士が育ってきています。それぞれの分野において、第一人者といわれる弁護士が数多くいます。
――一匹おおかみの弁護士の集まりである法律事務所はどこもそうだと思いますが、組織力を出したり、相乗効果を出したりすることは難しいと聞きます。特に森・濱田松本は弁護士それぞれの個性が強いようです。それ故に、独立する弁護士も多いと。
うちの事務所は「あそこは個人型の弁護士が多い」と言われることが多いですね(笑)。