序列激変#特別編Photo by Kazutoshi Sumitomo

弁護士の実務に本格的に利用され始めているリーガルテック。中でも契約書締結に関わる業務を、自然言語処理技術を活用して効率化・標準化を目指すMNTSQ(モンテスキュー)は、業界内でも一目置かれる存在だ。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の特別編では、長島・大野・常松法律事務所の現役のアソシエイト弁護士でもある板谷隆平CEOに話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

公平で信頼される契約書の締結に
圧倒的に安く、最速で到達できる

――MNTSQ(モンテスキュー)はリーガルテック企業として、弁護士業界内からも注目されています。どのようなサービスを提供しているのでしょうか。

 簡単に言うと、企業間の契約書のレビュー、つまりチェックです。企業間の契約書が、双方にとって公平で信頼される水準まで、圧倒的に安いコストで最速でたどり着けるというのが、MNTSQの提供する価値です。

 利用者は大企業の法務部です。ユーザー企業がさまざまな契約書をアップロードすると、MNTSQは自然言語処理技術を使って契約書の内容を解析し、論点ごとに分解します。そうすると、その論点に関して横断的に検索できるようになる他、過去に結んだ条項や経緯が分かるようになります。さらに、新たな契約書を締結するときに、基準となる契約書が分かるようになります。

 ユーザーの一社である三菱商事には、約17万件に及ぶ契約書があります。このデータをアップロードして、全社の契約を「見える化」しています。

 大企業であれば、三菱商事のように膨大な契約書のデータがある場合が多いのですが、何に合意していて、どのような契約書を締結しているのか、その時系列はどうなっているかは、ほとんど分かっていなかったと思います。それは事業部ごとに契約書を締結することが多いからで、法務部が全てを把握する体制にはなっていないのです。

――例えばA社とB社が契約書を締結するときに、MNTSQはどのように関わるのでしょうか。また、実務はどのように変わるのでしょうか。

 A社とB社が双方の弁護士を通して交渉していくときに、例えばA社がMNTSQを導入していたら、受けていい条項は何か、受けてはいけない条項は何か、どういった基準が公平なのかということを、あらかじめ把握した上で契約交渉をしていくことができます。