業界内ではおとなしいと評される長島・大野・常松法律事務所。しかし2019年10月、リーガルテック企業MNTSQ(モンテスキュー)に8億円を出資するなど、攻めの姿勢を見せている。特集『弁護士 司法書士 社労士 序列激変』(全19回)の特別編では、マネージング パートナーの杉本文秀弁護士に話を聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
リーガルテック企業に8億円出資
長島・大野・常松が見据える狙い
――2019年10月に、リーガルテック企業であるMNTSQ(モンテスキュー)に8億円を出資しました。こうした新興企業との連携を、今後どう進めていきますか。
すでに3年以上前に、リーガルテックの専門チームを事務所内に立ち上げていて、事務所の業務フローを見直しながら、できるものからIT化する試みを継続してきました。
モンテスキューとの協働については、同社のサービスを活用することで、M&Aのデューディリジェンス(資産査定)業務の一部など反復作業や事務的な作業をできるだけ効率化し、高度な判断が求められる業務に弁護士が集中できる体制を整えています。
それからモンテスキュー自身も、大企業向けに自然言語処理を駆使した(契約業務のデジタル化など)リーガルテックサービスを展開しています。われわれが、彼らのサービスに法律的な支援をすることもあり、こうした二人三脚で、進化したリーガルテックを積極的に拡大させていきます。
――五大法律事務所では、一つの案件に多くの若手弁護士を投入して、彼らの時間を消費した分だけ企業に費用を請求する「タイムチャージ」が一般的です。リーガルテックで業務が効率化されれば、企業に請求する費用も少なくなりませんか。